第9回 卒業式

 日本は全国的な入梅とか? ここハワイは日々気温が上がり、常夏の中の真夏(?)がやってきています。海の色もどんどん濃くなり、私の大好きな季節到来です。
 6月初旬からは、どこの学校も夏休み。最近は、あまりに長い夏休みをちょっと短くし、クリスマス休暇や、春休みを長くして調節しているようですが、それでも夏休みはたっぷり2ヶ月以上、送り迎えの交通渋滞も緩和され、のんびり気分のハワイです。

 さて、5月のことになりますが、ハワイ州立大学の卒業式がありました。私事で恐縮ですが、今年は末娘の卒業。早くから家を出ていて自立している子供達ですが、それでも、最後の卒業式は、長い長い子育てに、一つのピリオドを迎え、感慨深いものがありました。もうこれで、親の務めは完了した。大げさな言い方ですが、いつお迎えが来てもOKになったのです。逆に言えば、今までも好き勝手をしてきましたが、ますます自分のためだけに、人生をエンジョイすることが出来るということです。

卒業式会場
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 前にも少し触れましたが、こちらの学校では、小学校中学校ともに卒業式はありません。そして大学の卒業式を見るのは初めて、ということもあって、朝早くから出向き、ベストポジションを確保。式は大学のドーム型ホールで行われたのですが、ここは、世界的なバスケットやバレーボールの試合も行われる小球場です。観客席からは、どこからもすべてが見渡せるようになっており、中央の天井近くには、大きなテレビモニターも設置されています。
  私は壇上の後ろ側に陣取り、左には、ブラスバンドの面々。生徒たちを正面から見ることが出来る位置です。
  式の始まる15分ほど前から、生徒たちが並んで入ってきました。おそろいの緑のガウンに各帽子、厳粛に行進して、というよりは、観客席に手を振ったり、並んでスキップしていたり、、、、。
 生徒たちがそれぞれの席に着くと、いきなりブラスバンドが演奏を始めました。何かと思うと、教授たちの厳粛な入場。「誰の卒業式?」 と思ったのは私だけでなかったようで、卒業生たちからも、不評の声が上がったとか。
  全員が席についた後、開会の宣言があり、「生徒も観客も、立って帽子を脱いでください」とのアナウンス。皆の見守る中、軍服の人に掲げられ、国旗、州旗、校旗の入場。そして、女性歌手による国歌。日本の卒業式で、何のために掛けられているかわからない日本の国旗とはえらい違いです。そういえば子供達は、小学校のころから朝礼で国歌を歌わされていました。国を敬う精神を、身につける。日本でも必要なのではないかと思います。

手話通訳
卒業生の笑顔
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 そして、もう一つ感心したことがありました。前の方には車椅子の生徒たちが並んでいたのですが、ちょうどその人たちの前のほうで、タクトを振るように手を動かしていた人が居たのです。最初は何をしているのだろうと、思っていましたが、途中で気がつきました。手話通訳の方だったのです。後日、すべてを平等にするために、手話通訳をつけるのは法律で決まっていると聞きました。これもアメリカの懐の深さと言えるでしょう。

  逆に、やっぱり軍事国家なのだ。と再認識させられたこともありました。生徒会で活躍した生徒や、成績優秀な生徒は、違う色のカラーをつけていたのですが、もう一つ、卒業後、軍隊に入る生徒たちも特別なカラーをつけていました。そして、生徒会や優秀生徒達よりも先に、紹介されたのは、その子達でした。皆を守るために軍隊に入る。確かに英雄的ですが、兵士になる。ということを特別扱いすることには抵抗を感じるのは、私が日本人だからでしょうか?

 そんなスタートから始まって、日本同様、長い長い来賓の挨拶。そして卒業生代表の返礼。と続き、卒業証書の授与。マイクで名前が呼ばれるたび、観客席からは大声援。といえるほどの奇声が飛びます。まるで野球の観戦と思えるほどのラッパの音や、口笛。そんな歓声と、卒業生の列が延々と1時間以上続き、後、十数人で、列が終わろうとしていたとき、ドーム中が、「ワー!!!」何事かと思ったら、卒業生の目の前に、白人の大柄の男性がひざまずき、手にダイヤの指輪を掲げているではありませんか。そうプロポーズしていたのです。そのままカップルは抱き合い、衆人の見守る中、一分ほどの長いキス。カメラもみんな寄ってきて、男性も、卒業生の列とともに退場。嬉しいハプニングでした。そのことは翌日のローカルニュースでも取り上げられました。

 皆さんに少しは雰囲気が伝わったでしょうか? 「Life is party」ハワイは、真面目で居ることが難しいところだと言われます。日本人の勤勉さをこちらの人に、ハワイの人の気楽さを日本の人に、足して2で割ると、バランスが取れると思うのですが、、、。

2008/6/15
つづく

 

 

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