アメリカ現地校悩み相談室

アメリカ現地校への転入では、いろいろな問題に直面します。
ここでは、(KOMET 現地校教育コンサルタント 高橋 純子)がアドバイスします。


「うつ病?無気力な娘が心配」


在米7ヵ月の10年生(*)の娘がいます。英語がまだよくわからないせいもあると思いますが、本人が無気力状態で困っています。最近では時々学校で気分が悪くなり、早退して帰ってきます。学校からは、「一日中ぼーっとしていて、宿題もちゃんとしていない」と指摘され、先生からは「うつ病の疑いもあるので、一度精神科に診てもらってはどうか」とまで言われました。どうすればよいか、アドバイスをお願いします。
(ニュージャージー州、母)

(*)アメリカでは日本同様、小、中、高校と別れていますが 6年の後もそのまま7年生、8年生と続けて呼びます。



日本でも米国でも、ティーンエイジャーといえば難しい年頃、というイメージがあります。思春期も絡んで反抗的な言動、しらけた態度、気分の抑揚が激しいなど人生の中で一時的にネガティブな時期でありこれを通りすぎるとまた落ち着く、というのが 通念のようです。
   
しかし米国では、これらの十代の多くが一時的な反抗期ではなく、実際には"Depression"(うつ病)を患っている、という事実が明確になりました。雑誌「ニューズウイーク」によると、米国で300万人ものティーンエイジャーがうつ病であると報告されており、また精神医学の研究・治療機関、ナショナル・インスティチュート・オブ・メンタルヘルスによる統計では、十代の8%に、小学生などの子供でも2%に、うつ病の症状が確認されたとされています。

これらの主な症状としては、頭痛、食欲減退、疲労感などの身体的なものを始め、不登校や学力の低下、無気力、無関心、また叫ぶ、泣く、キレるなど感情の起伏が激しくなる、などがあります。また米国では十代の死因の3位が自殺となっており、このほとんどがうつ病を患っていたといわれています。日本でも不登校児が14万人に近づいている現在、子供のうつ病という認識はまだほとんどないものの、この高い数字を見ると、うつ病が隠れているのではないかと疑わざるを得ません。

これらの現状を考えると、極度の無気力状態にある娘さんは、やはり一度診察をうけたほうが良いと思われます。学校のサイコロジストから十代専門のセラピストを紹介してもらい、必要であれば治療も覚悟しておきましょう。できれば日本語がわかる医者が理想ですが、そうでなければ信頼できる人に通訳を頼んで下さい。娘さんの心身の健康を最重要に考え、早急に対処すべきでしょう。


*この回答はあくまでも一般論で、 全てのケースにあてはまるわけではありません。


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