日本人が多く住む地域では、ご相談のような状況がしばしば見られます。ひとつのクラスに日本人の生徒をまとめているのは、現地校の見地からするとみんな一度に指導でき、非常に効率が良く、しかも日本人どうしで助けあってやってもらおうという考えがあるのだと思います。一昔前にもいくつかの地域でこのような事態が見られ、例えば学校の要請で、転校初日から他の日本人が校門で出迎え、一日中つきっきりで面倒を見たりということもありました。これは最初は非常に助かりますが、この状態が長く続くと現地校なのに日本語で通し、アメリカ人の友達は全くできず、1年2年経っても英語も伸びずで日本人の父兄にはかなり不評でした。その時の学校の言い分としては、優先はあくまでもアメリカ市民の生徒であり、言語にハンディがある子の指導はそれぞれの先生に必要以上の労力がかかってしまうので、できれば一度にみんなを指導したい、ということでした。また本音として、日本人の子らは一生懸命教えても3、4年後に帰国してしまうので教え甲斐がない、現地校は英語学校と勘違いされている、というような厳しい意見まで聞かれました。
確かにクラスを教える側としては、普通の授業をこなしながら英語がわからない子の指導も同時にしなければならないのは至難の業です。もし英語がわかる日本人の子が新しい子の横に座っていれば、あるいはグループで座らせれば、わかる子がわからない子を助けてくれるので、先生の負担は減ります。今回指摘しておられるように、日本人には特別少なめの宿題を出しているのも、過去に逆にアメリカ人同様に宿題を出されて困ってしまった日本人生徒のケースなどがあったからかもしれません。
しかしながら、これではまるで個人個人の能力を無視して、日本人生徒は自動的に「日本人用コース」に入れられていると同様です。いずれにしても、同じ出身国で同じ言語を話すということで、グループとしてひとまとめに扱われ、時間やエネルギーを最小限に抑えて指導されていのるは非常に残念な現実です。娘さんは楽しく通学されているものの、毎日学校で半分以上日本語で過ごしているとすれば、英語習得に問題が出てくるのは当然のことでしょう。たぶん遊ぶのも日本人の子と遊んでおられるでしょうから、遊びから学んでいく会話も入ってきません。これでは現地校に行きながら、英語は学ばず、かと言って日本人学校のようにしっかりとした母国語の学習が身につくわけでもなく、娘さんにとってあまり理想的な状況とは言えません。もちろん、日本人がひとりもいない学校に転入して、相当つらい思いをして不登校になったり、ストレス症状が出たりした子らのケースもありますので、一概にどの環境がベストとは断言できないかもしれませんが。
今回はまた担任の先生の怠慢な部分が目につくということなので、まず先生に不満の手紙を書き、面談を申し入れて、娘さんの英語が伸びていないこと、添削などちゃんと指導してほしいことを訴えられたほうがいいと思います。今年9月からのクラス分けについては、今学期が終わる前に他の日本人の父兄とも協力しあって、日本人をバラバラのクラスにしてほしいと校長に直接願い出ましょう。その時に娘さんや他のお子さんの英語力や学習状況を手紙に書いて、日本人父兄の署名を集めて手渡すと効果的かもしれません。このような問題は、面と向かってきちんと学校と話し合えば、解決が可能です。
さて家庭でできる対策ですが、月並になりますが、やはりネイティブの家庭教師などを雇って、無理にでも英語を使う時間を作ることでしょう。また、プレイデイトでも、アメリカ人の子とは言いませんが、例えばESLの他の国から来た子や、こちらで育ったアジア系の子などをなんとか家に呼んで遊ぶところまでこぎつければ、言葉はその時点からきっと上達していくことでしょう。それでもうまくいかないようであれば、思いきって日本人の少ない地区に転校することも考慮に入れたほうがいいかもしれません。
