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「日系プレスクールでの英語教育は?」

来米したばかりで、プレスクールに通う年齢に相当する子供がおります。小学校入学、またはそれより前に帰国予定です。これらのことを考えた結果、日系のプレスクールに通わせようかと考えています。しかし日系の学校では、どの程度の英語教育がなされているのかわかりません。また実際英語にふれる機会はどうすればいいのでしょう。家庭でどう英語をサポートすればよいのか教えてください。
(カリフォルニア州、3歳児の母)

日本語が発達途中で、就学時には帰国予定の幼児の場合、日系のプレスクールでそのまま母国語の基礎を確立されるのは、非常に正しい選択だと思います。 日系のプレスクールでは英語教育の方針はまちまちのようですが、一般的に英語を取り入れているところが多く、学校によってはかなりの英語教育を導入しているところもあるようです。もちろんメインは日本語での思考力や基礎的スキルを発達させ、身につけることがねらいですから、毎日英語のプレスクールに通っている子らと比べると、その英語力の発達度は比較はできません。まして流暢にしゃべれるようになるということは、率直に言って難しいと見られます。しかし、現地の学校に通っている幼児の子らは、反対に日本語の発達が阻止され、英語半分、日本語半分という中途半端な状態に陥る可能性も見られています。このような状態になるのであれば、日本語をきちんと100%伸ばして日本の小学校に入学されたほうが懸命でしょう。英語は第二言語として、適当なレベルをめざしてはいかがでしょう。

ここで重要なのは、母国語と第二言語のインプットの比率だと思われます。例えば日系のプレスクールでも、毎日45分〜1時間ほど英語のネイティブの先生が遊びや読み聞かせ、歌を通して英語を耳からインプットしてくれる程度であれば、日本語の発達の邪魔にならず、同時にいいバランスで英語に接し、リズムや基本音という英語の言語要素的なバックグラウンドが養われると思います。それと同時に、幼児期にある程度の量の外国語や文化に触れさせることは、好奇心や興味、国際的センスを育てる根源になります。このような理由から、アメリカ在住という環境で、全く英語教育を取り入れていないような日系プレスクールに行かれるのはあまりお勧めしません。

 もし日本語だけの厳格なプレスクールに入ってしまった場合、やはり家庭で英語のインプットを補われることが妥当でしょう。英語の先生を雇う、というと簡単に聞こえますが、お子様の年齢ですと、英語の勉強というより遊びやベビーシッターに近い状態になってしまい、なかなかそのような内容で来てくれる人が見つからないのも現実です。またベビーシッターをまったく英語のみを話す人に頼む、というのも親として言語学習以外で文化や信頼度など、別の心配や問題が出てきます。 また、いきなり外でなんらかの英語だけの環境に放り込むという手もありますが、これは子供によってはかなりの拒否反応を起こしかねません。ですので、ここは段階的なアプローチと取られてはいかがでしょう。例えば最初は日本人バイリンガルの高校生や大学生に来てもらって、子供には 「このおねえちゃん(おにいちゃん)はアメリカ生まれだから英語しかしゃべれないんだよ」と言っておき、英語を貫いてもらうのも一考です。絵本を読んでもらったり、アルファベットのゲームして覚えたり、一緒にアクティビティをしてもらいます。子供は英語のみでも、相手がとりあえず日本人だと安心するでしょうし、だんだん 「○○して」という命令形から様々な動詞を学び、また何かがほしい時、トイレの時など、「こういう時には、こう言えばいいんだ」というフレーズも学ぶことでしょう。こういった安心な形から始め、ある程度英語に慣れてくれば、次の段階として外のプログラムに参加することも考えてみましょう。これは、お母さんの社交性や英語力にも関係してきますが、 もし勇気を出されてアメリカ人の子らが来ている運動、アート、プレイグループなどのちょっとしたプログラムに参加して、様子を見てはどうでしょう。本人がなんとか楽しく過ごせるようであればしめたものですし、どうしても馴染めなかったら、また最初の段階に戻してもいいと思います。

 このように基本的な言語力や思考力などは日本語をメインで伸ばしながら、英語は決まった量を少しずつ段階的にインプットして、現地文化に適応し、言語的センスを養われていかれることをお勧めします。「三つ子の魂百まで」と言いますので、将来きっとこの経験がものを言う時が来ると思います。


  



*この回答はあくまでも一般論で、 全てのケースにあてはまるわけではありません。


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