動物に関係のある感染症

鳥からうつる主な感染症
  オウム病
  トリ・インフルエンザ
  西ナイル熱
  真菌性感染症

 動物は一般に人間を避ける習性がありますが、以下に示すような場合には人を攻撃することがあります。

  • 子供を連れている
  • 病気にかかっている
  • 自分の領域を侵されていると感じる
  • 食物を探している
  • 交尾の時期 

などです。
  なお、動物が攻撃的になっている状態を見極めることは難しいので、動物には近づかない、近づかせないことが大切です。特に小児は動物が好きなので、十分に注意を与えて置く必要があります。
  かみつく、ひっかく、ける、角で突くなどの結果、受けた傷から感染を起こし、手当が遅れると、局所の化膿、敗血症、時には破傷風や狂犬病などの原因にもなります。
  このように動物が私たちの体に直接被害を与えて重大な感染症の原因となるほか、

  • 感染症にかかっている動物から昆虫が病原体を人間に感染させる、あるいは、他の動物をへて人間に感染させる、または、動物が周囲の環境を病原体で汚染し、その汚染された環境からまた人間が感染するなど、動物は直接または間接的に人間の感染症に関わっています。

 そこで、動物の種類と感染症の関わりを、鳥類、ペットおよび家畜類、野生動物類の3グループに分けて考えてみたいと思います。

鳥からうつる主な感染症

オウム病、トリ・インフルエンザ および 西ナイル熱があります。

オウム病  PCITACOSIS  細菌性感染症

 比較的軽い肺炎に似た症状ですが、高齢者の中には重症となり死亡する場合もあります。オウムやその他の鳥をペットとして飼っていることが診断の一助になることがあります。
感染の仕方; 病原菌を持つトリ(外見では分かりません)を移動したり、何か刺激を与えた後にオウム病に感染する危険が高くなるといわれています。鳥の排泄物、特に糞が飛沫し、これを吸い込んだ人が感染すると言われており、一種の飛沫感染と言えます。感染者が他の健康者に病原体を感染させることは知られていますが、更に他の健康者に病気を感染させるかどうかは不明です。
分布; 世界各地で起きていますが感染者が多発することは殆どありません
治療薬はありますが、予防接種はありません
病原体保有動物; オウム類、ハト、シチメンチョウ、アヒル、コウモリなど

トリ・インフルエンザ AVIAN INFLUENZAウイルス性感染症

 毎年流行を起こすインフルエンザはA型とB型の2種類の病原体に分けられますが、
トリ・インフルエンザの病原ウイルスはA型に属し、現在ニワトリに流行をおこしているものの大部分はH5N1と呼ばれる病原ウイルスによるもので、発熱、喉や筋肉痛、咳、結膜の充血などの症状を示し、発病後4日から5日後には肺炎に続き呼吸困難になり死亡すると言う経過をとる急性で重症な感染症です。抗ウイルス薬に抵抗性となっていると思われる例が少なくないようです。現在までの報告によれば、トリ・インフルエンザ感染者の死亡率は30〜70%ですが、このように死亡率に幅があるのは、診断による確認と治療開始までの間隔についてのデータが不明なことによるものです。発病後48時間以内に抗インフルエンザ薬で治療することが出来るインフルエンザと比べてみても、その確認と治療開始までの時間が重要であるということは専門家の一致した意見のようです。
トリ・インフルエンザは渡り鳥からニワトリに感染し、ニワトリからに感染するという感染経路は判っていますが、渡り鳥の種類、渡り鳥からニワトリへの感染の仕方感染者から健康人への感染の仕方などについては不明です。
なお、感染者(人)が他の健康者に病原ウイルスを感染させる可能性(即ち感染者の多発(Outbreak)については否定する意見が多いようです。
分布; 渡り鳥の種類と飛ぶ範囲についても不明なことから、トリ・インフルエンザは現在感染者のでている東南アジア以外にもニワトリの感染が起きる可能性があり、既にヨーロッパでもニワトリの流行が報じられているようです。従って特別な理由のない限り、ニワトリには近づかないことが、旅行者や海外滞在者の心得るべきことと言えます。
予防接種; 開発途上で、近い将来、一般に実施されるかもしれませんが、WHO 、 CDCが心配するように、インフルエンザとトリ インフルエンザの両遺伝子をもつ、あいのこインフルエンザ ウイルス(理論的には可能性あり)に対する予防効果があるかどうかは未知でしょう

西ナイル熱 WEST NILE FEEVER ウイルス性感染症

 このウイルス性感染症に感染した人の多くは症状を示さず、気づかない場合がありますが、症状を現す場合、発熱、喉や筋肉の関節痛、吐き気、嘔吐、皮膚の発疹など、他のウイルス性感染症に良く現れる症状を示しますので、免疫抗体検査をしないと診断は難しいようです。この感染症の病原ウイルスは、日本脳炎の病原ウイルスと同じグループで、日本脳炎と同様の脳炎症状を起こしてくる可能性もあり、感染経路は渡り鳥からカラスやその他の鳥に感染し、一部の鳥は死にますが、ウマ、犬、ニワトリなどに感染しても死亡することはないようです。人への感染は、感染した鳥類からイエカが媒介すると言われていますが、その他のヤブカ、ハマダラカ、マダニなども、渡り鳥から他の鳥への媒介に関係しているという報告もあります。
西ナイル熱の病原ウイルスは、母乳から乳児に、消毒不完全な医療器具による医療を受けて、輸血臓器移植などでも感染することが判っています。
妊婦が感染した場合、風疹のような胎児に先天性障害を起こす可能性について米国CDCは心配しています。
米国では、2006年 11月7日までの約1年間に2,993名の感染者が報告され、そのうち約4%が死亡しており、感染者は3歳から99歳に及んでおります。また306名の献血者から西ナイル熱ウイルスの存在が疑われたと報じられていますが、そのパーセンテージについては不明です。
分布; 元来サハラ砂漠より南方熱帯アフリカに風土病として定着していましたが、中東ヨーロッパなどで流行を繰り返し、現在は米国各洲で風土病的に定着しているようです。
予防接種、治療薬;現在はありません

CRYPTO-COCCOSIS 真菌性感染症

 古いハトの巣、ハトの糞に含まれています。糞の粉末を吸い込んで感染するものと考えられています
分布: 感染者は単発的に起こり、世界中どこでも起きています。
治療薬はありますが,予防接種はありません。

2007年3月17日
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「海外で健康にくらす」
予防接種、感染症への対応

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オーハーシーズ・メディカル・
コンサルタンツ代表
医学博士
渡辺 義一
 
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