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重症急性呼吸器症候群
(Severe Acute Respiratory Syndrome=SARS) 
<臨床学的診断法> 

予防指針(米国CDC)
重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome=SARS)
昨2002年11月頃から、中国広州で患者が多発し、その後東南アジアのみならず世界の他の地域からも感染者が報告されている「SARS」の病原体は、多分Coronaウイルスの一種であろうと言われております。
しかし、この病原ウイルスの免疫学的診断法が確立していないので、現在では臨床学的に診断しております。
<臨床学的診断法>
1. WHO によるもの;
今年3月21日の「Weekly Epidemiological Record 」では、
感染を疑われる患者と
感染と考えられる患者に
分けて述べていますが、その内容はやや詳細に過ぎると思われるので、WHOのものより簡単で、判り易い米国CDCSARSの臨床学的定義を紹介しておきます。
2.CDC によるもの;
2003年2月1日以後、病因不明の呼吸器系の疾患で、以下の症状を示している場合を疑わしい患者とする。
38度以上の体温に加え、以下の呼吸器系症状のひとつ、またはそれ以上の症状を示す
咳(痰のでない空咳)、息づかいがあらい、呼吸困難、X線検査により「肺炎」または「急性呼吸器感染」を示す。更に
発病の前10日以内に「SARS」の感染を疑われる患者がでた地域に旅行をした人(表参照)
医療関係者、感染者の同居者、疑わしい患者を看護した人、体液などを扱った人 危険な地域:中国全土、香港、ハノイ、ヴェトナム、シンガポール

重症急性呼吸器症候群(SARS)  
国  名
累積患者数
累積死亡者数
地域感染経路
3月
29日
4月
4日
3月
29日
4月
4日
アジア
中国
806
1,220
34
49
判明
香港
470
761
10
17
判明
台湾
10
15
0
0
判明
シンガポール
89
100
2
5
判明
タイ
3
7
1
2
不明
ヴェトナム
58
59
4
4
判明
欧州
ルーマニア
2
1
0
0
不明
ドイツ
4
5
0
0
不明
スイス
3
2
0
0
不明
ベルギー
0
1
0
0
不明
フランス
1
3
0
0
不明
アイルランド
2
1
0
0
不明
英国
3
3
0
0
不明
イタリー
2
3
0
0
不明
スペイン
0
1
0
0
不明
オセアニア
オーストラリア
0
1
0
0
不明
北米
南米
カナダ
37
69
3
7
判明
米国
59
100
0
0
調査中
ブラジル
0
1
0
0
不明
1,550
2,353
54
84
-
Communicable Disease Surveillance & Response (WHO) より

SARSの判定基準が臨床症状を主としているため、この表に示した数字がどの程度までこの感染症の実像を現しているか疑問に思います.SARSの症状はインフルエンザ(ウイルス性)に似ており,SARSの今回の流行が北半球におけるインフルエンザの流行時期(大体11月から3月まで)と重なっていることから,SARSの診断に当たって、インフルエンザの可能性を否定する検査を実施しているかどうかについて知りたいと思います


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