海外渡航者の健康管理
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出国前予防接種のプラン-2 
プラン1

海外渡航者が、出国前に接種を受けたいワクチンを選ぶためには、渡航者ごとの生まれてから現在までに接種を受けた総てのワクチンについて、ワクチンの種類、接種量、接種年月日、接種方法(皮下、筋肉、皮内注射など)、ワクチン製造所と製造番号などを記録してある適正な証明書(例;母子手帳、学校で接種を受けたワクチンを記録してある健康表、)など、何れの証明書にもワクチンを接種した医師、または機関の署名または、捺印が必要です。
出国前に予防接種を受けようとする人は、上述した証明書なしでは、必要なワクチンの接種を受けることは難しく、クリニックでもこれを無視することにより、必要以上のワクチンの種類と接種回数を行う結果にもなりかねません。

● 出国する人の現在までの予防接種の証明書から、受けるべきワクチンを選び出し、接種の順序を決めるのは、ワクチンを接種する機関やクリニックの仕事(義務)である。

従って予防接種を行う側で必要な知識として;

  1. 出国先によって必要とするワクチンの選択
  2. 接種する各ワクチンの、接種スケジュール(接種を開始できる最低月齢、または年齢、接種回数、同一ワクチンの接種に必要な最短間隔、接種部位)については、ワクチン接種に伴う副作用と共に要求される大事な知識でしょう

ワクチンの選び方

  1. 出国先に関係なく接種を必要とする「基本的予防接種のワクチン・グループ」;

    これらのワクチンで予防しようとする感染症は、世界各地に広く分布して、人々に被害を与えているので、先進国・途上国の区別なく、これまでの接種歴を考慮した上で、接種しておきたいものです。

    「基本的予防接種のワクチン」の中には、現在日本国内では接種を受けられない"b型インフルエンザ菌ワクチン(Hib)"もありますが、その他の基本的予防接種ワクチンは日本国内で接種を受けることが可能です。

    BCG、三種混合(DTP)、ポリオ(OPV)、麻疹(ME)、風疹(RU)、水痘(Var)などについてワクチン名だけは知っておられるお母さん方が多いと思いますが、これらのワクチン接種を、決められた接種時期を過ぎても接種の完成していないお子さんが少なくなくありません。

    特にDTPの第1期の3回目を、2回目から1年以上の間隔をおいて接種した結果、百日咳の免疫成立を遅らせたり、おたふくかぜの接種を受けないために、この病気で起きる可能性のあるウイルス性脳炎や、難聴の危険性を残している小児もおられます。

    ポリオの接種を2回(日本では2回ですが)しか受けていないので、10人に2人くらいは、ポリオに対し、完全に免疫となっていない可能性があるにもかかわらず、安心しているお母さんも少なくありません。

    なお、日本国内で接種を受けられる、基本的予防接種のワクチンと接種スケジュールについては、「海外で健康にくらす」の第一部、17頁 表Aに示してあります。

    ワクチンの接種回数については、海外の研究結果を参照して示してあり、各ワクチンの接種間隔は、最短間隔で示してありますので、これより短期間内で接種するのは、海外に到着してから問題を起こす原因となる恐れがあります。

    接種間隔を多少長くとることは構いませんが、余り遅れるとワクチンで予防できる感染症にかかり易い時期に間に合わなくなりますので、接種スケジュールに従って接種したいものです。


  2. 渡航する国や地域、職業、登山、動植物の研究、滞在地の教育機関(幼稚園以上)に入学予定など、それぞれの生活計画に依って接種を考える「補足的予防接種のワクチン・グループ」があり、原則として先に述べた基本的予防接種のワクチンに加えて、このグループのワクチンのいくつかを接種して出国することになります。

    「補足的予防接種ワクチン」の何を接種するかを決める目安は、「海外で健康にくらす」の第1部、19頁から24頁までに示してあります。

    各ワクチンの接種スケジュールについては、18頁表Bに示してあり、これも他の先進諸国の研究結果を採り入れてあります。

    私自身の経験から、最近は、既に1度くらい途上国に滞在し、再び先進国や途上国に渡航する家族もあり、多種類のワクチンの接種証明証を持っていて、その上で出国前の予防接種を望む方達もあるので、その場合も、予防接種を行う者は、先に述べた"出生から現在まで"の予防接種歴について詳しい質問をした上で、適切な予防接種を実施することが、クリニックの医師や接種機関に課せられた重要なステップであると考えます。

    ワクチン接種後は、接種証明を記録し、本人に手渡すことは接種者の義務であることは言うまでもありません。




プラン1


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