アメリカ現地校悩み相談室KOMET

アメリカ現地校への転入では、いろいろな問題に直面します。
ここでは,(KOMET 現地校教育コンサルタント 高橋 純子)がアドバイスします。


「日本社会にあわない帰国子女」

 日本に住む帰国子女の高校生です。おととしの夏に日本に帰国しましたが、以来冷たい日本の雰囲気や周囲からの影響で人格が変わってしまいました。行動力も低下してしまい、このままでは自分も今以上に怠慢で冷たい人間になってしまうのではないかと不安です。とにかく、留学でも海外派遣でもなんらかの形で海外に移住したいと考えています。アドバイスをお願いします。
(17歳、女子、東京)

                     



 

 

 まだ学生の時に帰国子女が日本に戻って、日本の社会にあわない、いやだ、海外に帰りたい、と感じるのはよくあることです。「冷たい日本の雰囲気や周囲からの影響で、人格が変わってしまった」とありますが、ティーンエイジャーで環境の異変に敏感な年頃では、例えば愛情を豊かに表現するような国に何年も住んだ後に日本に帰国すると、「みんな冷たい」と感じることもあるかもしれません。私自身も留学から日本に戻った時に、みんなと違う自分を意識して、日本ではいろいろ当り前とされるルールなどに疑問を持ち、「どうしてこんなに柔軟性がないの?」「将来この国にいてどうなるのだろう?」などと不安に陥ったりしました。しかし、その後、どんな国や文化にも長所・短所があり、結局は自分がそこで何を吸収し、どう能力を伸ばせていくかということがポイントだ、ということに気がつきました。

 ここで覚えていただきたい、三つの大事なことがあります。

まず第1に、今まだ高校生であれば、あまり実感していないかもしれないですが、自分の人生は結局自分次第で決まるということです。もし本当に海外に移住したければ、いくらでも方法はあります。TOEFLで頑張って高い点数と取り、アメリカなどの大学に入るのは、やる気さえあれば十分可能です。日本で大学に行くのに親に学費を出してもらうのであれば、アメリカの大学で「これを勉強したい」と、真剣に親に相談すれば、それなりのサポートをしてくるはずです。そうでなければ、例えば2、3年英語教師などの仕事をして、自分の力でお金を貯め、留学する手もあります。

 第2のポイントは、「日本から逃げ出す」という動機で、海外に留学などしても、ちゃんとした目的と地に足がついた計画性がない限り、何も達成しないということです。厳しい言い方ですが、自分の国で通用しない人は、海外でも通用しません。日本から逃げたい一心で海外ににやってきて、気がついたら何年も経っており、何かを達成したわけでもなく、でもいまさら日本にも帰れない、という最悪のパターンにならないように、いつも前進する努力を続けてください。第一のポイントでもお話ししましたが、現実的な目標と決断力、そして真剣な努力があれば、必ず道は開け、まわりもサポートしてくれます。

 第3のポイントとしては、今はあまりどうでもいいと感じられるかもしれませんが、海外では日本人は結局「日本人」として見られ、それは一生いつまでも変わりません。ですので、ある程度日本人としてのアイデンティティーや日本の知識などを備えておく必要があります。現在日本にいるこの時を、これらの知識や常識を身につける好機と考え、もっと自分の国の文化、歴史、言語などについて勉強してください。

 このように、将来自分で海外に移住するための計画を立て、逆算して今何から始めればいかを把握し、ひとつひとつの段階を確実に実行・前進するようにしていけば、これからの毎日も無駄ではなく将来への希望をもって過ごせるはずです。




*この回答はあくまでも一般論で、 全てのケースにあてはまるわけではありません。

>>KOMET アメリカ現地校適応教材シリーズ