第2回 ハワイにもありました い じ め 2

 前回は被害者の立場だったので堂々と(?)書かせて頂いたいじめ事件。今回は加害者の親として、少し小さくなって書いています。

 余談になりますが、ここハワイでは小、中、高校はもちろん大学も入学式はありません。そして中学や高校では、プロムと呼ばれる卒業ダンスパーティーがあります。夜8時か9時に始まり、朝までというのが一般的なようです。もちろんお酒はありません。
 中学校はまだしも、高校のプロムは男子はタキシード、女子はカクテルドレスを着て、カップルで参加。誘う側の男の子のほうも、誘われる側の女の子のほうも、卒業間近になると、パートナー探しに必死です。中には見つけられずに、姉妹、兄弟、従兄弟を連れて参加という子もいるようです。

 そうあれは長男の中学校の卒業プロムの当日でした。
いきなり学校から電話が来て、すぐに来て欲しいとの事。指定された教室に行くと、そこには、長男と一組の日本人親子、教頭先生、それに制服の警察官が待っていました。
 「長男が脅してお金を取っている」と言うのです。相手の子はとても気弱そうな子で、私が挨拶をしても目も合わせず、母親が話しかけても、うなずくか首を横に振るだけ。何でも母親がその子の日記をみて、学校に相談したとの事でした。
 長男に事の真相を確かめますと、実際何回かお金を借り、返していないとの事。金額は合計で4〜50ドルと小額でしたが、相手が「怖いからお金を渡していた」となれば、立派な強盗、恐喝事件です。いろいろ話を聞いて見ますと、日記には、「肩を叩かれた。とか、回し蹴りの真似をされた」とか書いてあったようですが、「暴力は振るったことはない。後ろから、お早う!と肩を叩いたことはあるけど、、、」とは長男の弁。
に、しても、長男はいくら借りているのかはっきり覚えていなかったのです。
  警察官はポリスレポート、と呼ばれる被害届けを出すか、出さないか相手の親に尋ねました。躊躇している母子に私は言いました。「出してください。借りた金額をはっきり覚えていないということは、本人に返す気がなかったということです。本人が、責任を取らなくてはいけないことですから」
  その言葉に慌てたのは、教頭先生でした。何でも、被害届けを出されると、長男は警察署にこのまま連行され、取調べを受け、その記録は一生彼について回るというのです。「将来、家を買うときにローンが下りないこともありえます」と、教頭先生は、何とか事を穏便に収めたいようでしたが、私は、悪いことは悪い。と自分のしたことと、その責任について本人にしっかり分からせる良い機会だと考えていました。
  結局、相手の母子が「そこまでしなくとも」ということで、長男は犯罪者にならずに済みましたが、いきなり警察を呼ばれたことに、本人共々、驚愕したのは言うまでもありません。
 そして話し合いが終わったあと、何事もなかったかのように、長男はプロムへ参加。家に連れ帰って説教しようと待ち構えていた私は肩透かしを喰ったのでした。


バスを待つ放課後の中学生

中学校のセキュリティー

ハワイのビバリーヒルズカハラ

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 その後も高校では、親友との悪ふざけで唇を切り、警察を呼ばれそうになったり、モペットと呼ばれる原動付き自転車で交通事故を起したりと、しっかり母親の私に子育ての責任の重さと楽しさを味合わせてくれた長男ですが、今は落ち着いてビジネスマンとなり、家庭では良きパパとなっています。 前にも書きましたが、日本の教育の閉鎖性を改めて感じています。いじめられている子が自殺するほど追い詰められる前に、なぜ親も学校も、警察を呼んで加害者の子に「君のやっていることは犯罪なのだ」と教えられないのでしょう。 世間体とか、評判とかの、実体のないものに親や学校が踊らされ、子供達をどんどん追いやっていると感じるのは私だけでしょうか? 日本とハワイ。どちらも良いところと悪いところがありますが、多民族が寄り集まっているから、細々したことまで、法律で定められているハワイ。その法律が学校の中にも適応されていて、なんとも単純明快です。単純なだけに、未成年だから、などという言い訳は通らないのが、ハワイの学校です。

2007/11/15
つづく

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