第3回 本当に英語は難しい

 日本はとても寒い毎日との事。
 常夏と呼ばれるここハワイは、朝夕かなり涼しくなり、秋らしくなってきました。
 夏と比べると、空が高く青色が薄くなり、お客様からご自宅で取れたレモン、オレンジ、パパイヤ、ライチなどの果物を頂くことも多くなりました。夏の間、暑さに枯れていたダイヤモンドヘッドや山々も緑が戻り、活き活きしています。人間の社会も、10月のハロウィン、11月の感謝祭、12月のクリスマスと、一年でもっとも楽しいパーティーシーズンです。
 そうそう12月は、ホノルルマラソンも開催されます。我が家はマラソンコースの折り返し地点にあり、招待されたスター選手は、まだ暗い6時頃、最終のランナーは12時ごろに家の前を通り過ぎます。毎年おにぎりやキャンディー、チョコを家の前で配るのですが、11時過ぎに通られる方々は、皆ゾンビの様。足を引きずり、テープを巻き、「なぜ、そうまでして?」と、思わずにはいられません。でも完走された方が言うには、達成感が堪らないのだとか?
 これを読んでご興味のある方は、ぜひ来年ご参加ください。老若男女タイムに関係なく、どなたでも参加できる公式マラソンは、世界中でホノルルマラソンだけだそうです。

 


イルミネーション

イルミネーション2

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  ところで、ハワイは日本語が通じるところだと思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか? 確かに日本人、日系人が多いところではありますが、韓国、台湾、ベトナム、フィリピン、サモア、トンガ、それにハワイアン、白人等などと人種の坩堝のハワイ。当然、共通語は英語です。見た目は完全な日本人なのに、ぜんぜん日本語を話せなかったり、金髪ブルーアイなのに、流暢に日本語を話す人もいます。

 で、こちらに越して、一番困ったことはやっぱり英語が話せないということ。今では何とか日常会話はこなせる様になりましたが、来たばかりの頃、マクドナルドで2番を二つ、3番を二つ、5番を一つ。とそれだけの注文が、ぜんぜん通じませんでした。
「Two Number Two」 今思えばなんと単純な英語でしょう。ところがその頃は、先に数を言うという簡単な文法さえ解らず、英語がまったく出てきません。3つのレジの前で、私の後ろだけ長蛇となり、子供たちは恥ずかしかったらしく、さっさと席に着き、私は焦れば焦るほど、パニくって、、、。手振り身振りで、看板を指差しながら、「One wo Two」、、、、???
 結局、後ろに並んでいた日系のおじいさんが、「あなた、なに欲しい」と助け舟を出してくれ、無事に食を得ましたが、言葉が通じないと言うことは、相手と意思の疎通が出来ないという事で、食べるという人間の生活の根本をも脅かす大きなハンディーなのだと悟りました。

 同じように悟ったのは、英語がまったく出来ない私にとって、致命傷とも言える、黙っていると損をする。と言う現実です。こちらに来て、数ヶ月たった頃でした。アラモアナのブティックで買い物をし、夜レシートを整理していると、間違いなく50ドル足りません。英語ができないということは、イコール電話は無理と言うことで,翌日そのお店まで出かけて見ますと、「00が売ったのね。今日は彼女はお休み。明日ならいるわよ」と、出直すように言われてしまいました。日本ならば、丁重に「申し訳ありません。直ぐにチェックしてご連絡します」とか、その場で返金してくれるのが当たり前ですが、こちらではそうではありません。あくまでもミスは個人の責任で、店側はノータッチという態度です。さらに翌日足を運びますと、00さんは、午後3時過ぎからの出勤とのこと。子供のお迎えもあり、またまた出直す破目に、、、。
 そして3日目、「00は、休憩中だから、1時間後に来て」と一昨日と同じ店員に言われたときに、切れました、私。「冗談じゃない。何度ここまで来ていると思ってるのよ! ガソリン使って、時間使って! そっちのミスなんだから、さっさと返金して頂戴!」 気づいたら、周りにほかのお客さんがいる前で、日本語でかなり大きな声で怒鳴っていました。言っている意味は分からなくとも、頭にきているということは伝わったようです。直ぐに店長らしき男性が奥から出てきて、やっと対応してくれました。「確かにその日の売り上げは、50ドル多く、計算が合いませんでした。お返しします」何の事はない。最初から、店員が店長を呼んでくれたなら、3回も出直すことはなかったのです。それにしても、何故そうしてくれなかったのでしょうか? 店員に、私の尋ねた目的は伝わっていたはずです。

 一つは、対応した店員は、商品を売ることが仕事であり、苦情を受け付けるのは自分の仕事ではないという観念を持っていること。二つ目は、私の意思は伝わっていたものの、私の怒りまでは伝わっていなかった。と言うことです。そしてこの件では、店員からも、店長からも、「すみません」の言葉はついに聞かれませんでした。
 現在、そんな小さな社会性の違いを何度も体験した私は、英語の文法が違っていようが、通じなかろうが、日本語英語で言いたいことはがんがん言えるぐらい気が強くなっています。

  アメリカ人から見たら、日本人は表情も乏しく、何を考えているのか良くわからないと感じるようです。日本ではあまりストレートに感情を出すことは、はしたないとさえ思われています。逆に、アメリカ人は話すときに、日本人と比べるとゼスチャーが大げさです。嬉しかったら直ぐに抱きついて、ほっぺにチュ。頭にくればファイティングポーズをとったり、両手を広げて呆れたという顔をしたり、、、。

  言葉による意思の疎通が難しい、他民族国家のアメリカならではの生活の知恵なのではないでしょうか。それにしても、英語は本当に難しい。どなたか脳に埋め込み式の、翻訳チップを開発してくださる方はいないものでしょうか?



ナイスカップル

ホノルルマラソン走る人々

ホノルルマラソン歩く人々

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2007/12/17
つづく

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