【Fami Mail】 vol.21 2002.7.15 / 【Fami Mail】


「住基ネット」ご意見・ご感想

【特 別 寄 稿 】2002.7.15
8月にはじまる「住基ネット」とは、
徹底した監視社会の一歩なのです

声高に言うのは、よそう。
まず、自分の問題として考えてほしい。
生年月日、住所にはじまって、所得も病歴も学歴も、果ては犯歴さえもが1枚のカードに記録され、国に管理される。そんな社会を、あなたはのぞんでいますか。
遠い先の話ではありません。8月にはじまる住民基本台帳ネットワークシステムとは、徹底した監視社会の第一歩なのです。
/ ジャーナリスト  海野 幸


ファミメール vol.21 2002.7.15で、【特別寄稿】住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)、ご意見・ご感想をいただきました。 ありがとうございます。みなさまからいただきましたご意見・ご感想を、原文のまま掲載いたします。

今後もどしどしご意見・ご感想メールください。
↓↓

E-mail:juki@faminet.net



*メールをいただいた順に掲載してます。
2002年  2003年

A氏-02.07.15

 今まで、この件について気にはなっていたのですが詳細を知る機会がありませんでした。

 情報を統合管理することで得られる「効率化」メリットが大きいということは理解できますが、今の日本の歪みは「効率化」を最優先した結果の姿でもあると思います。

 もっと大切なことがあるということを、官僚はじめ、多くの人が忘れていると思います。

 何とか8月5日施行をストップする方法は無いのでしょうか。




B氏-02.07.24

 先日の住基ネットに関する記事を拝見し、まず始めに頭に浮かんだのは「エルリック コスモスの239時間」というお芝居です。100年後の未来が舞台となっており子ども たちにそれぞれ番号をつけ、厳しく管理する学園の話です。番号でしかアイデンティ ファイされない子どもたちには個性も夢もなく、笑うことすら忘れてしまいます。 ロボットさながらの子どもたちの姿は芝居だと分かっていてもぞっとするものがあり ました。

 現在議論されている住基ネットにより、国民一人一人に11桁の番号がふられるように なったら、わたし達「個」人は一体どのような方向へ向かって行くのでしょうか。

 便利さと引き換えにそれ以上のものを失う日は近いのではないかと思います。

 今以上に、生気を失い、機械のようになった日本人が町を行き交う日が近づいている ように思えてしょうがありません。

 個人情報が自分の知らないところでコントロールされるようなことも避けたいですが、あまりにも人間が均一化されすぎようとしている未来に不安を覚えずにはいられ ません。

 個人情報が氾濫し、乱用されるのではないかといったご意見が多いのではないかと思 い、あえて違う視点からこの住基ネットに関して発言させていただきました。

 (ちなみにお芝居ではその後、エルリックコスモスというロボットの先生が登場し、子どもたちに温かい心が戻ってくるという筋書きになっています)




C氏-02.07.24

 「住民基本台帳ネットワーク」の記事読みました。私もこの記事を読むまでは、はっきり言ってこの言葉も聞いたことがありませんでした。 国民ひとりひとりの個人的な情報が全てネットワーク化され、政府に管理される、という感じですね。もちろん、多少の人権侵害などの問題は 出かねないと思いますが、例え国の安全保障という目的があったとしても、 そんなに不便でひどいものなのでしょうか。

 米国でも去年のテロ以来、居住民全員の「パーソナル・アイデンティフィケーション ・カード」を作る案が出されました。確か個人のデータが全てコンピューターで管理され、そのカードを米国に住む人はアメリカ人だろうが、外国人だろうが 持ち歩き、提示を求められた時に出さなくてはいけない、という内容だったように思います。例えば飛行機に乗るチェックインの時、そのカードを提示し、 係員はそのカード番号をコンピューターに入れると、その人の個人データが画面に出される。もしその人に不審な点があれば(例えば不法滞在など)搭機拒否並びに移民局に通報するなどの処置を行う、というようなことだったと思います。
 もし間違っていたらごめんなさい。確かイスラエルの航空はハイジャックなどを 防止するため、これをやっていると思います。
 この案が出た頃は、もちろん賛否両論あり、共和党は賛成派、民主党は反対派というお決まりの状況で、現在に至ってはテロの後遺症もだんだん癒え 結局うやむやになっているという感じです。
 これはもちろん、国民を護るために、米国内に滞在するテロリストを察知するのが主 な 目的だったと思いますが、結果、不法滞在している外国人なども多数みつかるだろうし、 この人達の処遇はどうなるのか、とかいろいろ人権的問題に発展するのは必至でしょ う。

 ただ人権、人権と叫ぶ人達も多いのですが、基本的に米国では不法滞在や税金の滞納 は 厳しく罰せられて当然という空気があります。だから最初からそのように法に背くこ とを 行ったこと事体が間違っている、と思う人が圧倒的に多いのではないでしょうか。 要するに、自分にやましいことがなければ、 そのようなデータベースができても全く不都合ではないわけですから。 米国のように犯罪の多い国では、犯罪者を含めた個人の人権よりも、国民の安全を 優先し、保障することのほうが尊重されつつあると思います。

 ハッカーのような副産物的な問題は別として、日本は移民も少なく犯罪率も低く 平和すぎるから、国全体の安全を考えるより、このようなシステムは人権無視だ、 政府の管理主義だ、個人のプライバシー侵害だ、 という点ばかりが強調されてしまうように思えてなりません。

 このデータシステムが人々の利益になるように、うまく活用されることを願っています。

というのが米国と比較した、私の正直な感想です。 (NY在住)




D氏-02.07.25

 8月5日が目前に迫ったというのに、世間のこの無関心さはどうしたことでしょう。今さらのように日本国民のいい加減さに驚いてしまいます。みんな一緒ならうんと元気になるのにひとりひとりになるとなぜにも逃げ腰になってしまうのでしょうか。責任感がないとしか思えません。

 長いものには巻かれよ、泣く子と地頭には勝てぬという昔ながらの習性が残っているのでしょうか。よくわからないから、めんどうくさいからといつも逃げていると、気づいた時には手遅れということもあるのですから、もう少し危機意識を持って、個としての自分の考えをしっかり持って自分の意見をきちんと表現できるようになりたいものです。

 福島県の町長さんにエールを送ります。
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=全国初、住基ネットに不参加表明 福島・矢祭町=
福島県矢祭(やまつり)町(根本良一町長)は22日、
「個人情報保護法案が成立しておらず、
町民の情報が守れない」として、
住基ネットに参加しないと福島県に通告した。
離脱の表明は全国の自治体の中で初めて。」

(2002/07/23 asahi.com)
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E氏-02.08.12

 住基ネットに関して、私個人的としては、韓国での住民登録番号やアメリカでの社会保障番号等と同様のもので、今後の行政効率を考えるとある程度は致し方無いかなと思うのですが、各方面の理解・同意無く導入に至っている現状は非常に問題であると感じています。

 巨額の財政赤字の中、何時の間にか金沢までの新幹線がほぼ8割方完成してしまっていたり、外務省でのごたごたを見ると、この国は本当に大丈夫かなと思ってしまいます。住基ネットの導入に関しても、国会で国民に対して納得の行く議論がなされたとは言えず、国としての不健全さが非常に気掛かりです。

 私は幸い(?)杉並区に在住しているので、未だ11桁の番号なるものを頂いておりませんが、今後の動向が気になります。



F氏-02.08.21

 このサイトを見て、皆さん何をそんなに恐れているのだろうと不思議に思いました。

 住民票を頻繁にとりに行く人がいるだろうかと言うけれども、住民票で苦労している人のことを全く思いやっていないひどい話です。
 この人は自分で住民票を取りに行くことのない、恵まれた人なのでしょう。

 安全性を問題にするなら、銀行や民間の業者のほうがよっぽど不安です。
 反対したいがゆえの、後付けの理由にしか思えません。

 国に管理される、なんていう考え方は、一体どこから出てくるのだろうか、と思います。
 少し思い込みが激しい人たちに、国民が皆さんが翻弄されているような気がします。

 あと、私は38歳ですが、私たちの世代は、一種偏向教育を受け、日の丸を見れば警戒し、君が代は死んでも歌わないなどと洗脳されてしまっています。
 すなわち条件反射のように、「国家」と言うものに対して警戒感を植え付けられたと思います。
住基ネットも同じような発想で、条件反射的に警戒感をあらわにする人がいますが、 これは戦後何十年の教育のせいです。
 よく考えてみれば、そんなこと心配するのはおかしいんだと思います。

 よく、国が何をやっても文句ばかり言う人がいますが、 これは自らの政府を弱体化させているだけです。
自分で国会議員にでも立候補して政策を立案するのなら別ですがそんなこと誰もしません。文句だけ。
リーダーシップも取らないし、全く悲しい人たちです。 (これも思いこみかもしれませんが)
 だって一方では、行政の効率性がよくないだの、統計調査を二重に取るなだの矛盾することを言う人が、私の周りにもたくさんいるんです。

 そもそもこういうことを言う人は、こういう政策や施策を考えている国の官僚と一言でも曇りのない心で話したことがあるのだろうか。
 市役所の窓口ですべてを見たような気になっている人たちでは?

 統計調査が法律で目的外使用を禁じているから、ずいぶん無駄な投資をして手間も何重にもかけて新しい統計を作らなくてはならないし、データもそれぞればらばらにしか管理できなくなるんです。

 その統計法を作ったのは、戦後間もない頃、極左運動が「おしゃれ」で「洗練されている知識人の思想」ともてはやされていた頃です。
 「国に管理され」「戦前の暗黒時代に逆戻り」などと言っていた時代の遺物です。
 こんな発想をするから効率が悪くなり、無駄な役所ができてしまうのです。
 官僚を膨張させたのは国民自身であり、それを棚に上げて批判ばかりする人たちこそ、早くいなくなって欲しいと思います。



G氏-02.08.22

 私はこの2年余りの間に5回、転勤しました。その都度役所へ行って転出、転入届けをしました。面倒くさいなと思いつつも、日常の些事の方がよっぽどやっかいです。役所にちょっと足を運ぶことなど大したことではありません。転入のときには自治体ごとに違うゴミ出しの方法を聞かないといけないし、「便利帳」のようなものも、もらってこないといけません。

 今回の住基ネット開始に際し政府から、電子化すれば届け出の手間が省ける、「国民の利便性を図った」と言われても、正直、そこまでしてもらわくてもいいのにと思ってしまいます。それがリスクを伴うのであればなおさらです。

 どななたかメールで、戦後の「偏向教育」まで持ち出して政府の擁護をなさっていましたが、ことはそんな思想上のことではありません。この方の指摘はそれこそ、たとえは悪いですが、「みそくそ一緒」というやつです。ことの経過、事実を見極めないと議論 にはなりません。

 戦後民主主義を嘆くのは個人の勝手ですが、そんな小難しい ことではなくて、私の知らないうちに、私の情報を集めて勝手に使わないでもらいたい、といことです。しかも、こんどの住基ネットは、自民党でさえ「ちょっとやり過ぎたな、拙速だった」という思いがあります。だから、小渕さんは、実施するうえで、「個人情報保護法」というのを、先に作らないとやりませんから、みなさんご理解をと国会で再三答弁していました。それは法律にも盛り込まれています。

 こんな色分けは冷戦崩壊以降は無意味かもしれませんが、あえて旧式にいれば、保守陣営の論客である桜井よしこさんが、今回の住基ネットで政府・官僚批判の急先鋒です。反対する自民の顔ぶれをみても、タカだハトだなんてことは関係ありません。
 中川昭一氏や亀井さんらも大反対です。「偏向教育」まで持ち出して批判するのは、大いなる勘違いか何らかの意図があるとしか思えません。
 直近の首相の答弁を平気で無視し、法律違反までして開き直るような政府をいったいだれが信用できますか。国民の生活を豊かに、安定にするはずの「財政」が、外国からは日本の信用悪化の元凶とみられ、日本の不安定要因の最たるものになっている現状をみても、もっと我々は「物言う国民」にならないといけません。

 国から番号をもらいたい人はそうすればいいのです。しかし、 個人の日の丸観まで持ち出して、住基ネット反対者を批判するのやめてもらいたいものです。
 個人の情報を集めているよその国でも、国民の側から情報の開示や訂正を求める権利は認めているのが普通です。ところが、日本では官僚は過ちを犯さない、という前提があるようで(というよりも、自分たちが作ったから)、自分の使い勝手だけを考えて法律を作 っています。いい加減にしろ、です。

 もう一点。これを言うと、住基ネット反対と戦後の偏向教育をからめて論じた方は、やっぱりお前も偏向している、とおっしゃるかもしれませんが、事実なので、やっぱり指摘おきます。住基ネットのリポートをまとめた海野さんも触れていましたが、この住基ネット法ができるときに、連立与党にいた小沢一郎さんは、 「(この法律を)有事のために利用しないでどうする」と、経済団体首脳との懇談で公言しています。

 ことは、住民票うんぬんかんぬんではありません。
 情報収集というのは、使う側の欲望を考えると際限がなくなります。すでに、政府が新法も準備し300近い事務に利用するつもりでいることを見ればわかります。財務省は納税にもリンクさせたい考えです。いずれ住基カードは常時所持する「国内パスポート」のような役割も担うようになるでしょう。

 こうしたことを私は国民の義務として甘受するつもりはありません。

 国の強さは国民の信頼があってこそです。いま政府のやっている施策に目をつぶって、ついて行くという人は、よほどおめで たい人だと私は思います。時代認識が欠如しています。愛する、愛される国をつくるために、これまで「物言わぬ国民」として政策を黙認してきた我々は意見を表明しないといけません。住基ネット反対運動もこの脈絡のなかにあります。

 重ねて申し上げますが、これを冷戦期に逆戻りしたようなイデオロギー対立に持ち込むのは誤りです。今はそんな認識に捕らわれて、ことを判断する時代ではありません。



 

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