【Fami Mail】 特別寄稿連載  ◇◆目次◆◇
 

新日本橋石井クリニック 院長 医学博士 石井 光
[新日本橋石井クリニックホームページ]

 日本人の食生活の変化とともに急増しているのが大腸ガンですが、無痛 内視鏡検査で早期発見でき、日帰り内視鏡手術も可能です。
 入院の場合でも簡単な手術(腹腔鏡)で済むので短期間(一週間くらい)で入院費用・手術代がとても安くあがります。
 無痛内視鏡とはどのようなものなのか、どのように早期ガンを治療できるのかを明らかにします。

目次(連載)
   はじめに    7. クラブ180会員は内視鏡の名手
 1. 大腸ガンの増加  8. 内視鏡とレントゲンとどっちが有利か
 2. 無症状だけに胃ガンよりたちが悪い  9. 内視鏡で早期ガンの日帰り治療ができる
 3. 便潜血反応に頼るな 10. ポリープを取ると大腸ガンの予防ができる
 4. 助かる大腸進行ガンと助からない進行ガン 11. 無痛内視鏡は医療費を抑制する
 5. 大腸進行ガンはこれだけ医療費がかかる おまけ.無痛内視鏡体験記
6. 無痛内視鏡は本当に痛くも苦しくもない
-完-

はじめに

 1996年に新日本橋石井クリニックを開業してから今年で6年になります。その間、 私は7000余例の内視鏡を実施し、多数の早期ガン、進行ガンを発見しました。その後の生存率は92%、誤診率は0%です。これらの数字は、進行ガンでも発見が比較的早期であったことを意味します。

 私が発見した早期ガンは、ほとんどが日帰り内視鏡手術で治療したものです。

 通常、ガンの治療は、手術、化学療法、コバルト照射など多岐にわたりますが、いずれも治療費がかさみます。ところが私の内視鏡手術だと治療費はわずか10万円(自己負担は2万円)で済みます。早期ガンでも入院手術が必要な症例もありましたが、短期間の入院と簡単な手術(腹腔鏡)で済み、入院費用は手術代も含めて50〜100万円(自己負担は10〜20万円)でした。再発は現在までありません。

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大腸ガン・胃ガンの増減  発見率の高い大腸ガン
当院(新日本橋石井クリニック)で発見したガン
無痛大腸内視鏡で早期大腸がんを日帰り内視鏡切除

 一般にガンは、致命的な病気として捉えられています。実際、周囲を見渡したとき、ガンで亡くなった人は少なくないでしょう。
 進行ガンで発見されると、高額の医療費がかかることは周知の事実です。ある大学病院の調査結果によると、大腸進行ガンが発見されて亡くなるまでの2〜3年の間にかかる医療費は平均2000〜3000万円であることがわかりました。
 なぜ町医者の私が早期ガンをたくさん発見して医療費を節約することができるのかといえば、無痛内視鏡を実施しているからです。

 無痛内視鏡は文字通り、まったく痛くもなければ苦しくもありません。
 一般に内視鏡に対して抱くイメージは苦しくて辛いというものでしょう。「胃カメラをしましょう」「大腸の内視鏡検査をしましょう」と言うと、たいていの人はイヤーな顔をします。それは他人から聞いた話や自分の過去の辛い体験が記憶に刷り込 まれているからです。

 内視鏡検査を拒否するのは簡単です。嫌ならバリウム検査を受ければいいのです。
 しかしバリウム検査で異常が発見されたら、結局は内視鏡検査を受けることになるのです。内視鏡検査をしなければ確定診断ができないからです。
 ガン研付属病院の元内科部長の話によると、ガン研で発見した早期ガンの半数は無症状だそうです。不幸にしてガンに冒されながらも内視鏡を拒否した方は、やがて進行ガンとなり、転移したころに初めて症状が出てくるのです。この段階でガンを切除しても、同時に抗ガン剤やコバルト照射による転移の治療が始まります。転移性大腸ガンの5年生存率は約35%、胃ガンはもう少し悪く、食道ガンになると最悪です。

 もし、無症状のうちに内視鏡検査を受けていたらどうでしょう。大腸の早期ガンのうち85%は外来治療で根治できます。治療費もわずか10万円で済みます。無痛内視鏡はこのようにガンの治療を根本的に変えてしまうものといえます。
 21世紀に入ってどこの健保組合の財政も大変苦しくなっています。政府も国民皆保険制度を維持するのに必死です。我々開業医も医療経済と真剣に取り組まねばなりません。限られた医療資源を有効配分することが国民皆保険制度を維持する鍵と言えるでしょう。

 本稿では、どのようにして無痛内視鏡ができるのか、そのメリット・デメリット、問題点を徹底的に検証します。そして無痛内視鏡でどのように早期ガンを治療できるのかを明らかにします。その上で無痛内視鏡がどのように医療経済上の効果をもたらすかについて展開したいと思います。

 21世紀も医療保険制度が維持できるよう、本稿がその一助になれば望外の喜びです。


 1.大腸ガンの増加

日本人の食生活の向上とともに増加しているのが大腸ガンです。

 大腸ガン増加の一番の原因は、食生活の向上によって肉食が増え、相対的に野菜を摂らなくなったことにあると言われています。
 江戸時代は、一般に肉食は忌避されていましたが、明治時代に入って文明開化が進むと、肉食中心の欧米の食文化がハイカラということになり、一気に流れ込んできました。その後の肉食の増加により、江戸時代の平均寿命が40歳だったのに比べ現在では、日本は世界一の長寿国家になりました。

 しかし平均寿命が延びた反面、大腸ガンの増加傾向は近年特に著しく、胃ガンをはるかに凌ぐ勢いとなっています。このまま推移すれば、大腸ガンが消化器ガンの中で死亡率第1位になることは確実でしょう。
 病気の傾向も大きく変わり、日本人に胃ガンが最も多いと言われたのは、過去のことになりつつあります。胃ガン発生にはピロリ菌が関与し、日本人で40歳以上の80%がピロリ菌保菌者という事実が胃ガンの発生率を高めてきたことが明らかになったのはまだ最近のことです。しかし若い世代は保菌率が40%と低いことから見ても、これから胃ガンは減っていくことでしょう。21世紀は大腸ガンの時代と認識すべきです。

 従来の人間ドックは胃のバリウム検査が主体でしたが、これは20世紀の人間ドックであることを、健保組合関係者は理解しなければいけません。また大腸ガン検診は、現状では便潜血反応で済ませていますが、これは後述するように「見逃し」という大きなリスクを抱えた手法です。

 時代とともに人間ドックの中身も変えていく必要があります。つまり、大腸ガン検診を主体とした検査に変えなければいけないのです。これは医療経済の基本です。

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