新日本橋石井クリニック
院長 医学博士 石井 光 |
6. 無痛内視鏡は本当に痛くも苦しくもない |
内視鏡は苦しいもの、痛いものという評価(?)が定着しています。初めて来院された患者に内視鏡を勧めるとたいてい逃げ腰になります。過去に受けた辛い内視鏡体験や他人の話が記憶に刷り込まれているからでしょう。確かに今までのやり方では辛くて苦しいのは当然でした。 内視鏡挿入前の「のど麻酔」だけでは恐怖心を取り除くことができないのです。のど麻酔は局部(のど)だけに麻酔を効かせるので、意識ははっきりしたままです。内視鏡は昔に比べだいぶ細くなったとはいえ、まだ直径は1cmくらいはあります。その太い内視鏡が目の前に迫ってくると誰でもビックリします。潜在意識に刷り込まれた苦い記憶があるから、いざその場に直面すると辛い記憶がよみがえってパニックに陥るのです。 そんな心理状態のまま、無理やりこじ開けるようにして内視鏡を入れるのですから、苦しさは倍加されさらに力が入るのでいっそう挿入が困難になります。やっとの思いで内視鏡検査を終えても、残るのは苦しく辛かったという記憶だけです。これは胃の内視鏡の場合です。 大腸の場合は少し事情が異なります。それは大腸の形状(形と長さ)に起因しています。日本人の大腸の平均的長さは約1.5〜2mです。その細長い管がお腹のなかで四隅に曲がりくねって納まっています。特に「S状結腸」と呼ばれるS字型に曲がりくねっている箇所は、人によっては二重三重にトグロを巻いています。そのなかに硬いスコープを入れるのですから、胃よりも始末が悪いのです。 曲がり角を通過する際、スコープで腸を圧迫すると痛みが生じます。いちばん痛みが大きいのがS状結腸と下行結腸の境目を通過するときです。ここは腸がトグロを巻いているので、通過がたいへん難しいのです。大腸の内視鏡は、胃の場合の10倍以上難しい技術を要するので、熟練の医師に遭遇する機会はそう多くはありません。胃の内視鏡はがまんできても大腸の内視鏡だけはゴメンだという方が多いのも、大腸の形状に原因があると言えるでしょう。
まず、無痛のうちに内視鏡をおこなうためには、
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7. クラブ180会員は内視鏡の名手 |
大腸内視鏡検査は胃内視鏡に比べて通常格段に時間がかかる検査です。 |
8. 内視鏡とレントゲンとどっちが有利か |
レントゲンはバリウムによる間接的な画像診断です。あくまでもバリウムが作るかげを診断するのです。通常撮影はレントゲン技師がおこない読影は医師がおこないます。本当は両者とも医師がおこなうのがベストですが現実は違うようです。透視といってレントゲン撮影の時に医師が見ながら撮影しないと肝心の所見を見逃す危険があります。 |
9. 内視鏡で早期がんの日帰り治療ができる |
早期がんは粘膜内にとどまるものを指します。胃がんでも食道がんでも大腸がんでも早期がんは内視鏡手術の対象です。 |
10. 大腸ポリープを取ると大腸がんの予防になる |
大腸がんはほとんどがポリープから進行したものだといわれています。中には陥凹型といわれる進展が早くたちのわるい大腸がんがあり、いきなりがんになる型もあります。これは例外というべきです。大腸ポリープを切除して病理検査に出すとグループ分類されます。 |
11. 無痛内視鏡は医療費を抑制する |
無痛だからというわけではなく、内視鏡がいかにがんの早期発見に役立ち早期治療に有用性が高いか理解できたと思います。しかし、今までの刷り込みで内視鏡が苦しいから受けたくないと敬遠されてきたことは事実です。 |
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(c) 新日本橋石井クリニック2002
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