新日本橋石井クリニック
院長 医学博士 石井 光 |
2. 無症状だけに胃ガンよりたちが悪い | |||||||||
大腸ガンはまったく無症状のままに進行します。胃の場合は、胃炎や胃潰瘍で痛みが出るように、早期ガンでもなんとなく胃が重いとか食欲が低下するという症状が出て発見されることが多いのですが、大腸ガンの場合は、早期ガンはもちろんのこと進行ガンになっても無症状なので厄介です。 大腸ガンの一般的症状としては「血便」「便が細くなる」「腹痛」などがあります。ところが出血をともなわない進行ガンも多いので、血便がないからといって大腸ガンの可能性がないということにはなりません。私の患者で、大腸進行ガンが発見されたけれども便は普通だったという人も少なからずいます。 大腸ガンで腹痛をともなう場合のメカニズムは次のようなものです。腸管全周にガンが広がるため腸管の内腔が狭くなり、その結果、腸閉塞の症状をきたし腹痛を起こすものと思われます。だから腹痛で大腸ガンが発見されたときには、ガンはすでに他臓器に転移した状態だということです。
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3. 便潜血反応に頼るな |
便潜血反応とは、便中のヘモグロビンを測定することで大腸ガンのスクリーニングをおこなう検診方法です。 しかしいくら検査技術が向上しても、解決できないことがあります。 統計でも進行ガンの10%は、便潜血反応の検診で見逃されているといいます。便潜血反応の結果を信用し過ぎるのも考えものです。
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4. 助かる大腸進行ガンと助からない進行ガン |
大腸ガンは進行が比較的遅いので、進行ガンの場合でも助かることが多いのです。 どういう場合に助かるはかという前に、早期ガンと進行ガンの違いを説明しておきましょう。
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5. 大腸進行ガンはこれだけ医療費がかかる |
大腸ガンが進行ガンになると、莫大な医療費がかかります。まず手術代に100〜200万円、入院費に100万円。手術後には転移を抑えるための化学療法が開始されます。 肝臓に転移している場合、肝切除をすることもあります。その後も化学療法を何回もおこなうので、外来での通院回数も多くなります。このような治療を続けても、2〜3年で6〜7割の患者さんが亡くなってしまうのです。 結局、合計2000〜3000万円の医療費をかけながら、それは死に金となってしまいます。ときには患者のご家族が路頭に迷うような状況に追い込まれることもあるでしょう。失うものはお金ばかりではありません。 よくガンの治癒に効果があるという謳い文句でいろいろな健康食品が喧伝されていますが、いずれもたいへん高価にも関わらずその効き目は大いに疑問です。 検査嫌いの患者にたずねると、たいてい「検査が辛くて嫌だから」という答えが返ってきます。私のクリニックが無痛内視鏡をおこなっていることはどなたもご存知のはずなのですが、それでも検査を嫌がる方がいらっしゃるのです。なかには私の説得でついに内視鏡検査を受け、その結果一命を取り留め、たいへん感謝された例があります。 その方は当時56歳(男性)で、別の病気で通院していました。あるとき体がだるいと訴えるので、カルテをひっくり返して見ると、胃の内視鏡は定期的におこなっているのに大腸はまったくしたことがないのに気付き、大腸の検査を勧めました。半年たってようやく検査を受ける気になり大腸の内視鏡検査をおこないました。 すると直腸のほぼ全周性にガンが発見されたのです。ただちにご本人に告知して手術を勧めました。幸い瀬戸際のところで間に合い、人工肛門にもならず手術後3年半経過した今も健康でいらっしゃいます。この例などは、私の勧めに従って幸いにも手遅れにならずに済んだ好例と言えるでしょう。 今、医療保険財政は破綻寸前と言われていますが、すべてのガンがこのように手遅れにならないうちに発見されて治療が施されていれば、医療費の増大は防げるはずなのです。 |
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(c) 新日本橋石井クリニック2002
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